こんにちは、たなかりんです。在宅でWebライターというお仕事をしています。

昨日はヘアサロンに行ってきました。でも、今日ご紹介するのは私のヘアスタイルではなく、スタイリストさんです。

私の地元に近い福岡県久留米市には、有名な美容専門学校があります。おかげで、久留米市を中心に広がる筑後地方には、人口に対して美容院の数が半端なく多いんです。

 

フリーペーパーのタウン誌には、飲食店の数と同じくらいたくさんの美容院が掲載されていて、良くも悪くも美容院選びには悩まされます。でも、たくさんの美容院に足を運び続けたおかげで、ようやく「この人だ!」と思える美容師さんに巡り合いました。

ようやく巡り合った念願のスタイリスト!

私の髪はくせ毛で毛量が多い、いわゆる「美容師泣かせ」の頭です。おしゃれにカットは出来ても、セットしやすいスタイルにカットするのは難しいらしく、カットした翌日以降も「いい気分」が続いたためしがありません。いまの美容師さんに出会うまでは。

 

でも、いま通っている美容院の店長さんは、「セットがしやすいヘアスタイルにしてほしい」という私の希望を、100%満足させてくれたんです。

だから、「この方は久留米でもきっと5指に入る腕利きだ!」と個人的には確信しています。けれど、この美容師さんは腕だけじゃなく人間的にも優れた方なんです。

 

態度はいつも通りだけど自体はいつも通りじゃなかった!

平日の昼間だったこともあり、きのう美容院に行ったとき、私も含めてお客様は3人でした。この美容院、土日は店内がすし詰め状態になる人気店で、お客が3人ってかなり少ないです。

 

カットをしながらさり気なく、いつもお決まりの質問をされました。

「今日はこの後のご予定は?」

「いえ、全部終わらせて来たから、こちらが最後の予定です」
(「スタイリング剤はいらないですよ」という意思表示のつもり)

 

いつもと同じように、やわらかい微笑みで軽くうなずかれました。そのとき私は、てっきり仕上げのセットをどうするか確認するために聞かれたのだろうと思ったのですが、実はそれだけじゃなかったんです。

 

マシンガントークが鳴り止まないお客さん

その後ほどなくして、ひとりのお客さんがものすごい興奮状態で愚痴をこぼしているのが聞こえて来ました。愚痴の内容はどうやら家族の悩みのようで、機関銃の勢いでしゃべり続けて止まりません。声はうわずり、泣き叫ぶに近い状態…。

 

「これは大ごとだ、どう治められるかな…」とハラハラして様子をちら見していたら、店長さんは手を止めて、姿勢を低くして熱心に話を聞き始めました。

決して否定せず、丁寧にあいづちをうち、時にはなぐさめながら、そのお客さんの気持ちに寄り添っています。

 

その間、待たせている私のフォローも怠りません。他のスタッフに、私のマッサージをするように小声で指示されているのが聞こえました(耳が良すぎてごめんなさい店長さん)。

マッサージのおかげでとてもいい気持になったから、時間もあることだし、そのままうとうとすることに。

 

やがて、興奮状態だったお客さんの声のトーンが少しずつ落ち着き、笑い声も出始めました。美容院を出るときは、きっとすがすがしい気持ちで帰られたことでしょう。

 

店長さんの真意は?

そのお客さんを見送った後、何事もなかったかのように店長さんが私のところに戻ってきて、「お待たせしました」と声をかけられました。そしてふたたび、「お時間は大丈夫ですか?」とも。

 

その瞬間、はたと気付いたんです。さっきのお客さんは、愚痴を聞いて欲しくて今日ここに来たんだなあと。そして、店長さんはすぐにそのことを察知したから、丁寧に話を聞くことに専念しようと思って、私の予定を確認されたんだな、ということにも。

 

自分のしたい話を延々とする美容師さんも多いのに、この店長さんの空気を読み取る力に感動しました。私の性格とそのお客さんの性格、私の予定といった全体像を見渡して、素早く「最適なプロット」を組み立てる決断力にも。

 

ふと思い出した別の美容院の話

数年前、自宅に近い県道添いの立地のいい場所に、新しくお洒落な美容院がオープンしたのでさっそく行ってみましたが、当時はまだオープンから日があさく、店内はガラガラで。話をすると、なかなか固定客が増えなくて、いろんなキャンペーンを打って集客に励んでいる様子でした。

 

カットも対応も「可もなく不可もなし」といった印象だったけれど、自宅に近いという大きなメリットもあることだし、その後しばらく経ってから、また行ってみることに。

すると、割引キャンペーンが功をなしたのか、平日の夕方だというのに大忙しの様子です。スタッフの数も増えていました。

 

そこへ、二人の子供を連れたお客さんやってきました。

「予約していなんですが、いまから3人いいですか?」

 

カウンターにいた若いスタッフが、「今日はこの後も予約が多くて…」としどろもどろに応対していると、そのとき私のヘアセットをしている最中だった店長さんが、私の頭越しに大声で怒鳴ったんです。

 

「うちは予約制ですからね。予約して来られないとできませんよ!」

 

確かにね、「見れば分かるでしょ!」っていうくらい大入りの状態だったけど、ノンアポで来たお客さんへの対応にも、手を止めずに私の頭越しに怒鳴っていた態度にも不快感を感じて、その日を最後にその美容院へ行くのはやめました。

 

例えその方が日本一の美容師であったとしても、私は二度と行くことはないでしょう。もちろん、それほども腕ではありませんでしたが。