こんにちは、たなかりんです。在宅でWebライターというお仕事をしています。
昨日、近くのスーパーで「まるあじ」を発見しました!。「なんじゃそりゃ?」って?
要するにメロンパンなんだけど、元祖メロンパンと言われています。
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「まるあじ」とは?
「まるあじ」は、キムラヤを代表する目玉商品です。
キムラヤをご存じない方もいると思うのでかんたんに説明すると、キムラヤ(木村屋)は、福岡県の久留米市で大正時代に創業した、老舗(しにせ)の手作りパン屋さんです。
けれど、長いこと経営不振が続いて、先月末についに看板を下ろしました。
キムラヤの工場と従業員を丸々引き受けてくれたのは、やや高級だけどヘルシーなパンメーカーとして、地元では人気のパン屋、「フランソア」さん。
フランソアはキムラヤの工場と従業員だけでなく、木村屋ファンの想いもくみ取って、キムラヤのシンボル的な商品を残してくれたんです。
子供の頃パン屋さんは「夢のくに」だった
私が子供のころはケーキ屋さんはとても珍しく、特別や日にだけ連れて行ってもらえる高級なお店でした。
パン屋さんも珍しかったんですが、それでも、母親と一緒にショッピングセンターに買い物に行くと、決まってパン屋さんでおやつを買ってくれました。
ふだんは「あれもダメ!、これもダメ!」というけちんぼの母が、パン屋さんでだけは「どれでも好きなのをとっておいで」と、やさしく言ってくれました。
母と一緒に手作りのパン屋さんに行くのは年に数回。本当に、本当に、「特別な日」でした。
キムラヤは高校生の語らいの場だった
高校時代は、部活の帰りにいつも友達とキムラヤの肉まんを食べていました。学校の真ん前に、キムラヤのお店があったんです。
肉まんを食べながら、友達と何時間もおしゃべりをしたなあ。
高校を卒業したあと、はじめてキムラヤ以外の肉まんを食べたとき、あまりのマズさに驚きました。多分、コンビニの肉まんだったような気がします…(笑)
「キムラヤは特別なお店なんだ!」って自分の中で強く感じたのは、多分、このときがはじめてだったかもしれません。
でも、長らく地元を離れているうちに、キムラヤの存在はだんだんうすれていきました。
10年ぶりに地元に戻ったとき、まだキムラヤの人気は健在で、なんだかうれしくてホッとしました。
スーパーのパンコーナーにキムラヤのパンが置いてあると、必ず「見て!、キムラヤのパンがあるよ!」という声が周囲から聞こえてきました。
もちろん私も、見かけるたびにそう小さく叫びました。「キムラヤ」は、つい先日まで地元民にとっては特別なパン屋さんだったんです。
はた目にも明らかだった経営不振
けれど、お店の中を覗けば、キムラヤの経営不振が続いていることは火を見るよりも明らかでした。「まるあじ」など伝統的な商品を守りつづける一方で、新しい目玉商品を出せずにいたんです。
キムラヤの看板商品は、お菓子のような甘いパン。けれど、近ごろ人気が高まっているのは、ヘルシーな塩パンや玄米パンです。
独自の商品を展開する、人気のパン屋さんも次々と登場していました。
時代の流れに乗ることができず、長い伝統に幕をおろしたキムラヤ。一方で、時代のニーズを敏感に読み取り、次々と新商品を打ち出してきたフランソア。
どちらも私がこよなく愛しているパン屋さん。いまでも、食パンはキムラヤかフランソアのパンじゃないと食べる気がしません。
大切なのは伝統を守るだけでなく存続すること
キムラヤ閉店のニュースはあまりにショックで、しばらくはどう受けとめればいいのか分からなかったけれど、フランソアがキムラヤの工場を存続するというニュースを聞いたときは、少しうれしく思いました。
大好きなキムラヤを、同じく大好きなフランソアが引き受けたんです。
キムラヤの工場と従業員だけでなく、キムラヤを愛するお客様の気持ちも引き受けてくれたフランソア。
キムラヤの閉店は、伝統を守るだけでは生き残れない厳しい現実を、私たちに教えてくれました。そして、フランソアの対応は、ユーザー(人々)に愛されるために何が必要か、謙虚な気持ちで考えることの大事さを示しています。
改めておのれに問う
「まるあじ」を見つけたとき、たくさんの思い出がよみがえってきて、思わず涙がこぼれそうになりました。
「恥ずかしいからこんなとこで泣くんじゃない!」
必死にこらえて、逃げるように店を出ました。そして帰宅した後は、ビジネスを行う姿勢について改めて考えさせられました。
キムラヤ(木村屋)さん、お疲れ様、フランソアさん、ありがとう……。できればアンパンとクリームパンもお願いしますね!
※その後、アンパンとクリームパンも復活しました。どれも地元スーパーで気軽に買うことが出来ます。(2018年5月)